乳信仰探訪

ここでお産したの?というようなちょっとした場所である
側にある乳岩の謂れには、乳の祈願については書かれていない

世界遺産になった熊野古道を、中辺路のスタート地点から20分ほど登った斜面の途中に乳岩という場所がある。祈願すると乳がよく出るご利益があるといわれ、岩の前に布で作った乳型がいくつも吊るされていたと『伝説の熊野』に書かれている。
次のような伝承がある。平安時代末期の奥州の武将・藤原秀衡が子どもを授かったお礼に妻のあやめ御前とともに平泉から熊野大権現参りに来たところ、途中で妻が産気づいて岩屋で出産となった。子どもを置いて拝礼するように、との熊野権現お告げに従ってお参りして帰ってくると、子どもは狼に守られ、岩から白くしたたる乳を飲んで元気で丸々と育っていたという。この子どもが後の藤原忠衡である(『紀伊続風土記』*)。
参拝時に地面にさして置いてきた杖が芽を出して育ったという野中の秀衡桜は、子孫の樹が現存して花を咲かせているが、お礼に造営したという伽藍(秀衡館)は戦国時代に破壊されて現存しない。
*和歌山縣神職取締所:紀伊続風土記 第2輯、行政學會出版部、1910、p701、p748 乳の祈願の情報ではない

那須晴次:伝説の熊野、郷土研究会、1930、p88〜91
中辺路町観光協会サイト https://www.nakahechi.jp/highlight/
紀伊民報デジタルニュース20191114 https://www.agara.co.jp/article/33177
ブログ「たまやんの神社仏閣見聞録」https://ameblo.jp/2014douzyouzi708/entry-12617151218.html
ブログ「生石高原の麓から」https://oishikogennofumotokara.hatenablog.com/entry/2020/06/18/164815
写真:内岡 恵撮影(2024/10/11)

カテゴリー

内容

県名検索