乳信仰探訪

住宅街の中にポツンとあるお堂で、隣にツバキの木が植えられている
椿地蔵尊は新しいものだが、他に古い石像や石造物が祀られている

住宅街の中に椿の木と小さいお堂がある。中には新しい椿地蔵尊のほか古い仏像が何体か祀られている。『御坊市史』に乳がはりすぎる時はあずける、出ない時はオハナガラ(供物の米)をたばりにいく(お供えしたものを下げてもらってくるの意)と記載されている。御坊市が発行している寺内町散策マップに、椿地蔵はお参りすれば母乳がよく出る祠、と記載されている。
堂内の地蔵尊の隣は、右・薗八幡、左・日高川と彫られた道しるべを兼ねた珍しい庚申像1体がある他、資料*によると室町から江戸初期のものという阿弥陀如来と思われる石像2体、五輪塔や宝篋印塔の破片が多数収められている。
管理している地元の高齢のご夫妻によると、謂れやご利益については伝わっていないとのこと。以前は餅まきや8月の地蔵盆には盆踊りが行われていたそうだが、高齢化等に伴い管理する家が3軒から1軒に減り、担い手がいなくなってしまっているとのことであった(2025年2月取材)。
*「御坊の石造物」編集委員会:御坊市の石造物、御坊文化財研究委員会、2006年、p23 乳の情報なし

御坊市史編さん委員会:御坊市史 第2巻通史編Ⅱ、御坊市、1981年、p1134  https://dl.ndl.go.jp/pid/9574811/1/590
寺内町散策マップ https://www.city.gobo.lg.jp/material/files/group/18/p05.pdf
写真:奥 起久子撮影(2025/2/19)
情報提供:御坊市教育委員会

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