乳信仰探訪

横井地区の住宅と畑の間にある小さいお堂
地蔵の前の五輪塔の方に毛糸の帽子と涎掛けが何枚もかけられている

畑と住宅が混在する楠井地区の、道路より1段上の住宅と畑の間にある小さいお堂。中には石の地蔵2体、五輪塔8基と室町時代のものと思われるという板碑*がある。『御坊市史』にこれは子供地蔵で乳をあずかってもらう、という記載がある。
最近まで4月24日には近隣の方々によって毎年餅撒きが行われていたとのことだが、現在は中止しているとのこと。管理している旧家の人をはじめ、近隣の高齢の方で乳の祈願について知っている人はおらず、子供地蔵という名称も伝わっていないが、教育委員会情報ではここ以外に該当する地蔵はないとのこと。
お堂の中の地蔵には薄い涎掛け1枚がかけられているだけで、そばに並んでいる五輪塔の方に毛糸の帽子と厚めの涎掛けが何枚もかけられているところが何とも微笑ましい。何度も涎掛けを奉納しているという人の話によると、赤ちゃんが生まれた時や、子どもの祝いごとなどのタイミングで奉納されるとのことなので、子供地藏という名称と矛盾しない。新しいお花が備えられて綺麗に管理されていた(2025年2月取材)。
  *「御坊の石造物」編集委員会:御坊市の石造物、御坊文化財研究委員会、2006年、p9  乳の情報なし

御坊市史編さん委員会:御坊市史 第2巻通史編Ⅱ、御坊市、1981年、p1133
https://dl.ndl.go.jp/pid/9574811/1/590
写真:奥 起久子撮影(2025/2/19)
情報提供:御坊市教育委員会

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