天花(てんげ)の観音堂のご本尊は石の観世音菩薩で、文化庁サイトに安産のご利益があるとして昔から信仰されており、乳の出にもご利益があるとの記載がある。『つじどう ―周防・長門の辻堂の習俗―』には、室町時代の守護大名である大内政弘の奥方が難産を救われたこと、乳の出のご利益があることが記載されている。
山口県観光連盟のパンフレットには乳の祈願の話のみが紹介されており、この内容がなかなかユニーク。乳を出すためには、食事するときの箸を持参して子安観音の前の知安川に浸け、下から上、上から下、下から上と歩いて攫うという作法が伝わっているとある。それは赤ちゃんが母乳をねだり、母親が授乳し、乳を飲む動きということであると記載されており、これは繰り返し切り替え授乳する様子を表しているものか? もう一つの情報によると、川は「乳垂川」で、乳を出したいときは上から下へ、子どもが亡くなるなどで止めたいときは下から上へと攫うとある(『防長風土注進案』。これは乳預け祈願に他ならない。
現在「ちやす川」と書かれた場所は周囲を石垣で囲まれて水量も減っており、川というより溝のようである。
近くの男性(75歳)からの情報では、昔から乳の祈願の言い伝えがある。お箸で攫うという作法も聞いており、以前は乳型を台紙に貼り付けたものが堂内に奉納されていたとのこと。
毎年夏には、俊龍寺の3名の僧侶が大般若600巻の経文を転読して祈祷を行うという。
山口県文書館:防長風土注進案13、県立山口図書館、1961年、p206 https://dl.ndl.go.jp/pid/2990899/1/112
山口県教育委員会文化課:つじどう ―周防・長門の辻堂の習俗―、山口県教育委員会、1987年、p49 https://dl.ndl.go.jp/pid/12170231/1/31
NPO法人森のこえんサイト https://morinokoen.com/cat_exchange/2280/
文化庁サイト「全国ロケーションデータベース https://www.jldb.bunka.go.jp/location/350300125
山口県観光連盟「山口パワースポットガイド」p6 https://www.kgh.ne.jp/10/sightseeing/images/powerspot2.pdf
写真:内岡 恵撮影(2024/4/20)


