日本助産師会出版

乳信仰探訪

鵜戸神宮 お乳岩・お乳水・お乳あめ

豊玉姫が龍宮に帰る際に乳を置いていった場所と伝わるお乳岩
お乳岩から滴り落ちるお乳水で赤ちゃんが無事育ったと伝わっている
お乳水で作った飴がお乳あめとして販売されている

鵜戸(うど)神宮は神話で有名な神社で、結縁・安産・育児・海上安全祈願など多岐にわたる祈願がなされる場所である。その中に神話と関係した「お乳岩」「おちちあめ」があり、「お乳岩」を触ったり「お乳飴」をなめると母乳の出がよくなるという話が鵜戸神宮公式サイトで紹介されている。
『宮崎の伝説』によると神話は次のようなものである。失くした釣り針を探しに竜宮を訪れた山幸彦である彦火火出見尊(ひこほほでみのみこと)が、海神の娘の豊玉姫(とよたまひめ)と結ばれ、姫は海からこの地に上がってきて産屋を建てて出産した。しかし出産を覗き見されたことから、赤ちゃんを置いて竜宮に帰ってしまった。その際、両方の乳房を取って産屋のそばの岩につけて行ったと言われる場所がお乳岩である。ここから滴り落ちるお乳水で赤ちゃんは無事育ったと言われ、この水で作ったおちちあめが販売されている。
鵜戸神宮は第10代崇神天皇の時代に建立され、一時は寺院が併設されて「西の高野」と言われるほど隆盛を極めたという。明治維新の際に寺院は廃止された。朱塗りの色あざやかな本殿が産屋があったといわれる場所、太平洋に面した大きな洞窟の中に建っている。主祭神は神話の赤ちゃんである鵜葦草葦不合命(うがやふきあえずのみこと)である。

比江島重考、竹崎有斐:日本の伝説31 宮崎の伝説、角川書店、1979、p79、p217〜223
鵜戸神宮公式サイト https://www.udojingu.or.jp/keidai/
ふるさとコミュニケーションサイト「ふるコミュ」 https://www.furusato-pr.jp/tourism/miyazaki/umisachi-yamasachi.html
写真:内岡 恵撮影(2005/12/18)、河野 忠氏(立正大学)提供

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